組織の成長に伴うEUCの限界

EUC(End-User Computing)とは、企業の従業員が一般的なIT部門の支援なしに行う個人的なコンピューティング活動のことを指します。これには、ExcelやAccessなどのスプレッドシートやデータベースの作成、マクロの使用、さまざまなアプリケーションのインストールなどが含まれます。EUCは、従業員の生産性を向上させる場合もありますが、企業の成長を阻害する場合もあります。

 

1. データセキュリティのリスク: EUC活動により、重要な企業データが個人のデバイスに保存される場合があります。これにより、データの漏洩や不正アクセスのリスクが増加します。

2. データの一元化の欠如: EUCにより、企業データが個々のデバイスに分散し、統合されていない場合があります。これにより、データの整合性が損なわれ、意思決定に影響を及ぼす可能性があります。

3. プロセスの非効率: EUCにより、業務プロセスが標準化されずに個々の従業員によって異なる方法で実行される場合があります。これは生産性を低下させ、業務の遅延を引き起こす可能性があります。

4. コンプライアンスの問題: 特に規制が厳格な業界では、EUCによって法的なコンプライアンスに違反する可能性があります。このような場合、罰金や法的な問題が発生する可能性があります。

5. サポートの複雑化: EUC活動は標準化されたIT環境と異なるため、IT部門がサポートするのが難しくなります。これにより、トラブルシューティングに時間がかかり、リソースが浪費される場合があります。

6. 情報の可視性と追跡の欠如: EUC活動は、組織内で何が行われているかを把握しにくくする場合があります。重要な業務データの変更や更新が追跡されないため、意思決定に対して信頼性が欠如する可能性があります。(シャドーITとも言います。)

これらの問題は、適切な管理や監視の欠如によってさらに悪化する可能性があります。企業はEUCを完全に排除する必要はありませんが、EUC活動を適切に管理し、リスクを軽減するためのポリシーや手順を確立することが重要です。

そして、組織の成長によりその負担が大きくなってきたとき、より業務の生産性を上げ、効率的にするために、EUCからの「卒業」を検討する時期かもしれません。